犬の吠えに悩んでいる飼い主は多いのではないでしょうか?
- 他犬や他人に対して
- 留守番時
- ごはんの前
など、犬の吠えが問題として浮上する場面は数多く存在します。
たくさんの種類があるように感じますが、実際には大きく分けて、無駄吠えには2種類しか存在しません。
この記事では、
- 無駄吠えってどんな吠えのこと?
- 愛犬はなぜこんなに吠えるの?
- そもそも吠える原因はなに?
というような疑問を解決しながら、”2種類の吠え”それぞれの特徴や見極め方についても解説していきます。
吠えの原因を見極められなければ、当然その吠えを改善することはできません。原因を知ることで、愛犬の無駄吠えに対処するための下地を作りましょう!

知ることは解決のための第一歩!
犬の無駄吠えとは?

そもそも無駄吠えとは犬のどの吠えを指すのでしょうか?
実を言うと、犬の吠えに無駄なものは一切ありません。犬は、一生懸命に何かしらの意思表示のために声を荒げているのです。
しかし、人間である我々には犬がどのような意図で吠えているのかを知ることが困難であるために、「無意味な吠え」つまり「無駄吠え」であると認識してしまいます。
ずばり無駄吠えとは、
犬にとって無意味な吠えなのではなく、人間にとって望ましくない無意味な吠え
のことなのです。
そのため、犬の吠えが無駄吠えであるかどうかは、共に過ごす人によって異なります。同じ吠えでも気にならない、むしろ助かる人もいるでしょうし、ひどいストレスを感じる人もいるでしょう。
たとえば、同じ吠えだったとしても、

住宅街だし、近隣から吠え声がうるさいと苦情が来て困る…

自宅が農場だから、敷地内に入ってきた不審な人に吠えてくれるのは助かるぅ!
というように、飼い主AさんとBさんでは吠え声に対する印象は全く変わります。少し極端な例ですが、飼い主の考え方や一緒に暮らしている環境によって、吠え声に対する許容範囲は変わってくるはずです。
無駄吠えかどうかは、飼い主側の捉え方次第!
近年の生活環境や犬の飼育目的から考えると、犬の大半の吠えは無駄吠えに分類されると思います。「吠えてくれてありがとう!」という飼い主さんはほとんどいませんよね
あなたも愛犬の吠えに悩んでこの記事を読んでいるということは、愛犬の吠えは、あなたにとって「無駄吠え」であるということでしょう。
そんなあなたに朗報です。
犬の無駄吠えは、治ります。
しかし、先ほども言った通り、犬の無駄吠えには犬にとって明確な意味があります。
改善するためには、その犬の意思表示を汲み取れるようにならなければいけません。
無駄吠え解決のため、まずは犬が吠える原因を探っていきましょう!
犬の無駄吠えは2種類に分類できる

犬の吠えにはたくさんの種類があるように思えますが、吠えの原因に着目すると、大きく分けて2種類しか存在しません。
言い換えると、犬が吠える原因は2種類しかないということです。
結論を先にいうと、2種類の吠えは以下の通りです。
- 要求吠え
- 警戒吠え
このように分類できる理由は、犬の学習メカニズムが関係しています。

そもそも生き物はなんのために学習するか分かるかな?
生物、特に哺乳類は厳しい自然環境に適応するため、常に学習を続けています。
つまり、生物が何かしらの行動を学習することは環境への適応であり、生き延びる術であると言えるでしょう。
”学習は生き延びる術”
毎回同じ行動パターンしか持っていない生物は、複雑な環境の変化に適応できず、生存競争に負けてしまうのです。

目まぐるしく変化する環境に適応するために新たな行動を学習するんだね!
さらに、新たに学習した行動が習慣化するには下記の法則が重要になります。
得られるメリット>消費されるエネルギー
つまり、新たに学習した行動が、その行動をとることで消費するエネルギーよりも、得られる何かしらのメリットの方が大きくなければいけないということです。
メリットよりもエネルギー消費の方が大きい行動が習慣化してしまっては、行動をとるたびにエネルギー切れを引き起こしてしまうでしょう。
自然界でエネルギー切れを引き起こせば、それは”死”に直結します。
人間が狼を家畜化した動物が犬ですので、基本自然界には存在しない生き物ですが、どんな家畜化された生き物もルーツは自然動物なので、上記のメカニズムは共通しているものです。

ところでメリットって具体的になんだろうね?
ずばり、犬(生物)にとってメリットとは下記の2つしかありません。この2つのメリットが犬の吠えを習慣化させてしまう原因になります。
- 欲しいものが手に入る
- 嫌なものから逃れられる
つまり、犬の吠えには、欲しいものを得るための吠えか、嫌なものから逃れるための吠えかの2通りしか存在しないのです。
吠えが習慣化してしまっているということは、上記の2つのうち、どちらかのメリットが得られているということであり、吠えることで消費されるエネルギーよりも、そのメリットの方が大きいということが考えられます。
- 欲しているものが手に入る>吠えることで消費するエネルギー
- 嫌なものから逃れられる>吠えることで消費するエネルギー

2種類の吠えについて具体的に見ていこう!
要求吠え

犬になにかしらの欲しいものがあり、それを得るための吠えを「要求吠え」といいます。
ここでの欲しいものとは、
- おやつ
- おもちゃ
- 毛布
などの”物”であることもありますし、
- 注目
- 関心
- 愛情
など”形のないもの”である可能性もあります。
欲するものは犬によって全く変わってくるため、犬の性格によっては要求吠えが起こりやすい状況が変わってくるということも覚えておきましょう。

好きな物は犬によって違うからね
例を出せば、
- 食欲旺盛な子はフードやおやつなど
- 活発で遊び好きな子は他の犬の関心やおもちゃなど
- 飼い主ベッタリな子は飼い主の注目や関心など
愛犬の好きなものや、欲しているものに対して出る吠えが要求吠え
警戒吠え

犬が苦手なものや、嫌なものに警戒し、それを遠ざけるための威嚇の吠えを「警戒吠え」といいます。
要求吠えと同様、警戒吠えにおいても犬が警戒してしまうような苦手なもの、嫌なものは犬によって全然変わってきます。
過去に怖い思いをしたなどでトラウマを抱えた場合、その対象を怖がることは往々にしてあるでしょう。
それ以外にも、犬は基本未経験やあまり経験したことのない音やものなどには恐怖を抱きます。恐怖を抱く対象が多ければ多いほど、警戒吠えが出やすくなってしまうでしょう。
これは、子犬の”社会化期”と呼ばれる特定の時期が大きく影響しています。この時期に経験できなかった音やものなどの刺激には、脳のメカニズム的に警戒心を抱くようになってしまうのです。

子犬の社会化期は生後3週齢〜12週齢の間だよ
愛犬が警戒しやすいもの
- 過去のトラウマに関係するもの
- ”社会化期”に経験できなかったもの
例として、警戒吠えの出ることが多い対象は、
- 自分や同居犬以外の犬
- 家族以外の人
- 車
- 自転車
- 花火の音
- 雷の音
などなどです。
吠えながら、
- 尻尾が下がって巻いている
- 唸りながら歯を剥き出しにしている
- 耳が伏せている
などの仕草が見られる場合は警戒吠えである可能性が高いでしょう。
犬が嫌いな対象に対して出る吠えが警戒吠え
無駄吠えの見分け方

それぞれの吠えについて理解したところで、次は愛犬の吠えが一体どちらの吠えなのか見分ける方法を学んでいきましょう。
無駄吠えの対処法は?という質問には答えようがありませんが、要求吠えの対処法や警戒吠えの対処法にはセオリーがあります。
要求吠えと警戒吠えでは原因も違えば、対処法も違いますので、解決の第一歩は愛犬の吠えがどちらに該当するのかを見極めることです。
愛犬の無駄吠えが明らかに要求吠えなのか、警戒吠えなのかがわかる場合は問題ないのですが、時には愛犬の吠えがなんとも判断し難い場合もあるかと思います。
そんな時は、愛犬がどのタイミングで吠え止むのかをしっかりと観察してみると良いでしょう。
無駄吠えに困っている=吠えが習慣化してしまっている
習慣化してしまっている=吠えることで愛犬にメリットがある
つまり、愛犬が吠え止むということは、
- メリットを獲得できた
- 疲れて諦めた
のどちらかということです。
要求吠えの場合は、何かしらを要求しているわけですから、犬にとってのメリットはその要求しているものが手に入ることです。
吠え始めて、何かを愛犬が獲得した時点で吠えが治まるようであれば、その吠えは要求吠えであり、その獲得したものが要求吠えのきっかけであることが分かります。
逆に警戒吠えの場合は、何かしらを警戒しているので、犬にとってのメリットはその警戒対象が遠ざかるか、消え失せることだと言えるでしょう。
つまり、吠え始めて何かが愛犬から遠ざかることで吠えが治まるようであれば、その吠えは警戒吠えであり、その遠ざかっていったものが警戒吠えのきっかけです。
吠えることで何かを得ている→要求吠え
- 得られているものが要求対象
吠えることで何かを遠ざけている→警戒吠え
- 遠ざけているものが警戒対象

一見無駄な吠えでも、吠えるきっかけと吠えることで得られているであろうメリットの関係を整理することで、吠えの意図が分かってくるんだよ
要求吠え・警戒吠えの具体例

とは言っても、抽象的な説明だけではなかなか理解しづらいと思いますので、それぞれの吠えについてよくある事例をもとに具体的に説明していきましょう。
要求吠えの具体例
- ごはん前になると毎回吠え始め、フードが出てくるまで吠え続ける。フードをあげると吠えは治まり、一心不乱に食べ始める。
- 就寝時や留守番時など、ハウスに入れると吠え始め、しばらく吠え続ける。数十分〜数時間吠え続け、その後諦めるが、飼い主が戻ってくると再度吠え始め、ハウスから出すと吠えは治まる。
- 散歩中、他犬と遭遇するとリードを引っ張り吠え始める。吠えながらぐいぐいとリードを引っ張っていくが、挨拶ができる距離まで近づくと吠えは治まる。
これらは全て要求吠えのよくある例です。
1〜3すべての例において、犬の欲するものが、吠えた結果、手に入っているということが分かるでしょうか?
- フード
- ハウスの外という環境
- 他犬との挨拶
これらが犬の要求対象であり、吠えが出現するきっかけになっています。
そして、すべての例において、吠えている最中や直後にその要求対象を犬が手に入れてしまっているのです。
これでは、吠えることでのメリットが発生し続けてしまっているため、要求吠えは治まるどころか、悪化していくでしょう。

注意点は、飼い主側の意図は関係がないということ
飼い主としては、
- ごはんの時間だからあげただけ
- 外出から帰ってきたからハウスから出しただけ
- 散歩で避ける道がなかったため他犬の横をすれ違っただけ
という認識だったとしても
犬の視点からすれば、
- 一生懸命吠えたからフードがもらえた
- 一生懸命吠えたからハウスから出してもらえた
- 一生懸命吠えたから他犬に挨拶させてもらえた
と認識してしまいます。
主観的な見方ではなく、愛犬が吠えた結果どのようなメリットが生まれてしまっているかを客観的に観察することが大切
警戒吠えの具体例
- インターホンが鳴ると吠え始め、来客に対しても吠え続ける。来客が去ると少しずつ吠えは治まっていき、次第に落ち着いていく。
- 父親が帰宅して自宅の駐車場に車を停めると吠え始め、家に入ると玄関まで走っていき激しく吠え続ける。父親が動いている限り吠え続けるが、ソファなどに座ると少しずつ吠えは治まり、次第に落ち着いていく。
- 散歩中、走行している車を見かけると吠え始め、車が往来するたびに走って追いかけながら吠え続ける。車が通り過ぎると吠えは治まる。
これらはすべて警戒吠えのよくある例です。
- インターホンおよび来客
- 父親
- 走行中の車
これらがその犬にとっての警戒対象であり、吠えのきっかけになります。
これも要求吠えと同じく、犬が吠えた結果、上記の警戒対象が犬から遠ざかる、去る、静止するというメリットが結果的に生まれてしまっているため、学習が進み習慣化してしまっている状況です。

2の例なんかは似たような状況で要求吠えも発生することがあるから、どっちの吠えなのかを見極めるのは少し難しいかもしれないね。
このようにどちらの吠えか判断が難しい場面こそ、いつ吠え止むのかに注目し、その吠えのメリットはなんなのかを分析することで、犬が吠える意図が理解できてくるでしょう。
要求吠えだった場合
- 父親が犬を構った時点で愛犬は喜び、吠えは治まる
警戒吠えだった場合
- 父親が構おうとすると吠えが悪化するか、後退りながら吠え続ける
まとめ:無駄吠えは原因に応じて適切なしつけを!

ここまで記事を読んでいただいた方は、かなり愛犬の無駄吠えの意図が汲み取れるようになってきたのではないでしょうか?
四六時中吠え続けられると、いくら愛犬でもストレスが溜まり、つい感情的に怒ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、愛犬の吠えは無駄な吠えではなく、必死な何かしらのメッセージです。
そのメッセージの意図を汲み取ろうとせず、ただただ黙らせるようでは、人間に一切喋るなと言っているようなものでしょう。
愛犬はコミュニケーションの取れない飼い主を信頼してくれることはありません。
無駄吠えは、近隣トラブルにまで発展してしまう可能性のある問題ですが、原因ごとに適切な対処を行えば改善することができます。
要求吠え、警戒吠えそれぞれの対処法については長くなってしまうため別の記事で解説しますので、興味があればそちらの記事も参考にしてみてください。
犬を知ることは自分自身を知ること!
犬について学びながら、楽しい愛犬ライフを!
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